随分時間が空いてしまいましたが、7月に「上り坂コンサート」に向けて指揮者&ソリストの二人にインタビューをすることができました。
マエストロ井上と徳永くんの出会いは、2008年4月に行われた「第7回北陸新人登竜門コンサート」での共演だったそうです。徳永くんは当時中学生。マエストロへの第一印象は「怖そう」だったそうですが、その後のマエストロとの演奏会は楽しい経験の連続。
今は「あんな大人になりたい!」のだそうです。
現在福井の公立高校に通う16歳。心身共に伸び盛りの少年を、マエストロ井上はどんな思いで見ているのでしょうか。
「『音楽の才能』として生まれながら備わっているものは年齢を問わず続くかもしれないが、技術は大学生ぐらいまでしか伸びないから、(徳永くんも)今のうちに練習をしなければならない。ただし、練習だけしていてもダメで、演奏会をしなければ上達はしない。
そこで難しいのは、演奏会の質だ。良い共演者と良い状況で演奏会をしなければ上達は望めない。
僕は14~15歳の頃のことをとても良く覚えているが、今思ってもあの頃が勝負だったなと思う。その年齢の頃に「こうしたい!」という意欲があるかどうかで、その後が違う。
意欲がないと、チャンスも来ない。
今回、徳永くんは自分で演奏したい作品を決めた。だからその作品に向き合って、きちんと練習もできるだろう。
その上、このコンサートは9年続いているシリーズだから、「若い音楽家の演奏を聴く」という姿勢の温かなお客様の前で演奏できるわけで、それは、16歳の今、望みうる最良の機会だと思う」
と、若きソリストにエールを送ります。
一方、徳永くんは、「沢山の人に自分の演奏会を聴いてもらいたい。練習は辛いこともあるけれど、ピアノを弾くことは楽しい」と、はにかみがちがちに言います。でもその純粋なまなざしになみなみならぬ意志を感じました。
今回演奏するのは自ら選んだショパンのコンチェルト。なぜショパンを?
「小学校3年生のときに初めて『子犬のワルツ』を弾いて、ショパンが好きになったので。
ショパンの曲はメロディーがきれいで、それでショパンが弾きたいと思いました」。
自分が少年だった頃のことをとても良く覚えているというマエストロ。いつもかわらぬ「上り坂」な気持が、徳永くんの若いエネルギーをぐんぐん引き出すことでしょう。
来年は上り坂コンサートが10年目を迎え、本シリーズのひと区切りとして、過去のソリストに登場していただく予定なので、「上り坂」な新進ソリストをご紹介するのは今回が最後。
マエストロ井上が「コルトー級の日本を代表する音楽家になる!」と太鼓判を押す若きソリストの演奏が、本当に楽しみです。(花)