ジャン＝エフラム・バヴゼ　ピアノ・リサイタル

ジャン＝エフラム・バヴゼ

パリ音楽院でピエール・サンカンに学ぶ。1995年にサー・ゲオルグ・ショルティ指揮パリ管弦楽団にデビュー、ショルティが最後に発掘した逸材との呼び声も高い。ロンドン響、フィルハーモニア管、フランス国立管、フランス放送フィル、BBC響、バーミンガム市響、オランダ放送フィル、ブダペスト祝祭管、クリーヴランド管、ボストン響、ニューヨーク・フィル、サンフランシスコ響、モントリオール響等と、ユロフスキ、ペトレンコ、ノセダ、アシュケナージ、サロネン、ガッティ、ノセダ、エラス=カサド等の指揮で共演を重ねている。リサイタル、室内楽も意欲的に行っており、ロンドンのウィグモアホール、パリのシャンゼリゼ劇場、アムステルダムのコンセルトヘボウ、ブリュッセルのパレ・デ・ボザール、ヴェルビエ、ラ・ロック・ダンテロンなどの国際音楽祭にも登場。英国シャンドス・レーベルの専属契約、数々のCDは受賞多数、いずれも絶賛されている。
25年春には生誕150年を記念し、ラヴェル「ピアノ独奏曲全集」をリリース。

バヴゼは演奏家である思想家だ。彼は、知っている。

―THE MAIL ON SUNDAY

彼がピアノの椅子にいて、誰がオーケストラを必要とするか？

―THE ARTS FUSE

～ ピアニストの務川慧悟さんから、推薦メッセージが届きました！ ～

ジャン=エフラム・バヴゼ氏の演奏は、ラヴェルも聴いたことはあるけれど、とりわけ僕が数年前にずっと繰り返し聴いていたものがあって、それがドビュッシーのピアノソロ曲全集でした。その中でも、自分にとっての大きな指針として特に何度も聴いたのがエチュード集。彼の、もちろんフランス流派としての洗練された音楽作り・時に洒脱なイントネーションが、彼の持つ確実なテクニックに裏打ちされた、素晴らしいものでした。

そうして彼のCDを愛聴していた頃、彼がパリ音楽院へマスタークラスをしにやってくるという知らせがあって、喜んで応募しレッスンを受けることができました。僕自身はドビュッシーの前奏曲集より幾つかを聴いて頂き、また他の受講生のレッスンも聴講する中で、(彼自信は大変にユーモアのある面白い方だったのですが)非常にベーシックなことを何度も厳しく繰り返し述べていたのが印象的でした。「基本的なテクニックの訓練を怠らないこと」。インスピレーションというものは、心の中にあったとしても、テクニックを通して表れてくるものだから、ということです。

そうして今、彼のラヴェルを今一度聴いてみると、やはり完全なタッチのコントロールによって、ラヴェル音楽の持つ造形美を浮かび上がらせてくれる——決して安易な”雰囲気作り”に逃げるのではなく——素晴らしいものだと感じます。彼は例えばベートーヴェン国際ピアノコンクールの覇者でもありますし、謂わゆるフレンチピアニズムとともに、確実な「構築性」という、一見対立するようにも思える両面を併せ持った稀有な存在であると認識しています。

さて、そんな彼が一日で一挙に演奏するという、ラヴェルのピアノ独奏曲全曲は、まさにラヴェルのピアノ曲の持つ極度の精緻性と、バヴゼ氏の丁寧な細部の積み上げによって最終的にインスピレーションを浮かび上がらせてくれる音楽作りとで、ラヴェルのピアノ音楽の世界にどっぷりと浸る格好の機会———必ず聴くべき公演となること間違い無いと思います。

務川慧悟

※当日、務川さんのご出演はございません。